狭山不動寺(埼玉県所沢市)

前回上野東照宮の記事をアップしたが、極彩色金ピカ系物件の記事を書いてみる。

所沢の西武ドームのすぐ近くに、狭山不動尊という寺がある。
この寺、建立されたのは戦後なのだが、非常に古刹然としている。

それは全国各地から、古建築を集めてきたからである。

特に目立つのが、戦災により荒廃した芝の増上寺の徳川家霊廟の地を、
西武グループが買占め、こちらに移築した物件だ。
もし現存していれば、世界遺産クラスとも言われてた霊廟群だが、空襲により全て焼失。
霊廟の焼失は非常に残念でならないが、焼失を免れた門や石塔が、増上寺を離れ、
他の地へ移築されて保存されているのも、寂しい気がする。



狭山不動尊の山門は、増上寺から移築された台徳院廟の勅額門である。
台徳院は2代将軍秀忠で、秀忠の霊廟の通用門として家光によって造られた。



勅額門とは、天皇直筆の将軍の戒名の額を掲げている門のことである。
この額は、後水尾天皇の筆。
勅額門を潜り、参道の階段を登ると、御成門がある。




これも秀忠の霊廟にあった門。
金ピカの飛天の彫刻が多く彫られており、朝鮮渡来の天人門とも言われている。

御成門を過ぎてしばらくすると、この寺の総門が現れる。


この門は、長州藩の毛利家江戸屋敷から移築されたもの。
どの屋敷のものかはわからないが、規模だけみると表門と言ってもおかしくない。
両脇に付く番所や潜門等、付属物件があればいいのだが。
門の正面に、ここでの唯一のコンクリ物件である本堂があるのだが、写真を撮っていなかった。



本堂の右隣に建つ、多宝塔。
この多宝塔は、大阪府高槻市の畠山神社に1555年に建立されたもので、昭和36年にこちらに移築された。
どういう経緯でこちらに移築されたのかは不明だが、廃仏毀釈の際、解体されていたものが残っていたのだろうか。
結構この手の話をよく聞くので。

多宝塔の後ろに鋳造の宝塔があるのだが、これは増上寺より移築されたもので、
7代将軍家継生母桂昌院の宝塔。なぜこれだけ移築されたのかは不明。
また、本堂の周囲には、各大名や将軍家から寄進された石灯篭が立ち並ぶ。

本堂の裏手から少し降りたところに、派手な門がポツンと建っている。




崇源院(秀忠夫人）霊廟の通用門であった丁子門である。


本堂の左側にある六角円堂の弁天堂。
滋賀県彦根市の清涼寺からの移築。
井伊直孝の息女の菩提の為に建立されたもので、1659～1693年の間の建立とされる。


石柵で囲まれた羅漢堂の門。
田中平八郎邸の門を移築。


柵の中に、井上馨邸から移築された羅漢堂と増上寺から移築された銅鋳造の唐灯篭。
ここまで並ぶと圧巻だ。


大黒堂。奈良極楽寺からの移築。
柿本人麿の所縁の地ということで、当時の歌人達が歌会を開いた堂と伝えられている。
祀られている大黒様は、寛永寺見明院から移された。


第二多宝塔。
兵庫県椅鹿寺より移築されたもの。
1435年に、播磨守護の赤松満男が建立したもの。

裏門へと進む。


裏門は、奈良県桜井寺の山門を移築したもので、桜井門と呼ばれる。
桜井寺は、天誅組の本陣として利用されたこともあり、
「天誅組本陣跡門」なる表札が掲げられていた。


廣信寺という建築物。
由来は全くわからない。

ま～なんというか、何度移築を書いたことか（ｗ
ほぼ移築物件で、古刹感は味わえるのだが、なんだが物足りない。
やはり、いくら名建築を持ってきても、歴史という重みは付いてこないってことだろうね。

タグ：徳川家霊廟 寺

コメント 3

すごい。重文クラスの遺構がゴロゴロですね。
まったくが脈絡がないデスけど、非常に貴重なモノを現在に遺してくれて
いることには感謝ですね。珍しいモノ見たさに行ってみたいです。
by ノリパ (2009-11-07 15:59) 

増上寺から移築した建物が多いですね。
今、増上寺にあればもっと見応えがあるのに。
by たかぼん (2009-11-07 21:53) 

貴重な物件が現存していることは、非常に有意義ですね。
移築自体も、移築先でしっかり管理さえしてれば、問題ないと思います。

ただ荒廃したとはいえ、将軍家の霊廟跡地がホテルやゴルフ場となったのは、
悲しいし、何だかな～って感じです。
by ガンビー (2009-11-08 13:03)