瑞聖寺(港区白金台) [江戸の風情]
地下鉄白金台駅から歩いて1,2分のところに瑞聖寺がある。 1670年に江戸で最初に創建された黄檗宗の寺で、江戸黄檗様仏殿が唯一現存する寺だ。 江戸時代は広い寺領、多くの堂宇や塔頭を持っていたが、明治以降は廃仏毀釈や火災、地震でその多くを失ってしまい、 かつて程の寺運はないが、白金の住宅の中に佇む仏殿は、何とも言えない存在感をかもし出している。 | |||||
現在の表門である冠木門。 この門も江戸から現存するもの。 | |||||
入母屋造浅瓦葺の鐘楼。 1885年(明治18年)の建立。梵鐘は戦時中の金属供給令によって供出、現在のものは昭和63年に造られたもの。 鐘楼の梵鐘ではないが、開山堂にあった半鐘がスイスの民俗博物館で発見されている。 | |||||
東京に唯一現存する江戸黄檗様仏殿である大雄宝殿。 仏殿の前にある白い石が敷き詰められたエリアは『月台』と呼ばれるもので、太陽や月の光を反射させて、内陣を明るくする為に照らす仕掛けである。 外観は黄檗様式の仏殿だが、内陣の両脇に畳を敷くなど、江戸独特の様式になっているのが特徴。
雲板と魚板。どちらも食事や時刻を知らせるのに使用された。 | |||||
高麗門の山門。 もとは裏門で、現在の目黒通りに面して立てられていたが、山門の位置に移築された。 江戸時代には、黄檗様式の独特な門が建っていたことだろう。 | |||||
通りから山門を見る。冠木門と高麗門、そして境内へ続く階段と大雄宝殿が、住宅の中に溶け込んでいる。 | |||||
中華風をうまく和風にアレンジした、黄檗様式のちょっと厳つい風貌が好きだ。 京都の万福寺に行ったときは、心躍ったものである。 ただ、関東では物件数が少ないので、残念な限り。 参考文献:訪ねてみたい東京のお寺 |